イノベーションが生活に与える影響:1900年と1913年の都市変化から学ぶ

イノベーション

企業が持続的な成長を実現するためにイノベーションを創出していくことが重要です。

多くの製品やサービスは、時間の経過とともにその価値が低減していきます。
企業は、その低減をカバーできるだけの新しい製品やサービスを展開していかなくてはいけません。

新しい製品やサービスには、既存のものとは異なる価値や切り口が必要です。

その際に基本となる考え方がイノベーション(新結合)であり、
新しい価値の創出意識することにあります。

企業が持続的に成長するためにはイノベーションが必要であり、
企業は常にイノベーションを模索していかなくてはいけません。

イノベーション創出は
企業側の利益の視点だけではなく、人々の生活への恩恵という点からも重要です。

イノベ-ディブな製品やサービスが世の中に出たことによって、
それまでの人々の生活が一変して、より便利になるということもあります。

今回は、イノベーションにより人々の生活が大きく変化した事例として、
1900年と1913年における馬車から鉄道への変化から、その影響と、
新型コロナウイルスの後の社会での対応について考えます。

1900年と1913年のニューヨークの町並みの変化

1900年と1913年のニューヨークの町並みについて面白い写真があります。
(実際に写真につきましては、下記のリンク先をご参照ください)

10年という年月をどう捉えるか | Junnama Online
今年の11月、アルファサードのPowerCMSが10周年を迎えたこと、次期バージョンの開発を進めていることもあり、12月1日にPowerCMS Conference 2017を開催させていただきました。100名の会場が満員になるほどの盛況ぶ...

リンク先の説明でもあるように、
1900年のニューヨークでは、馬車が闊歩。
しかしその13年後の1913年では、自動車の行列。

という変化が生じています。

この変化については、色々な切り口で考えることができると思います。

たとえば、「仕事」という観点からは、
「馬の御者」という仕事は、13年の間に消滅していることが理解できます。

馬を管理する仕事もなくなったことだと思います。
また、馬車を作ったり、修理をしたりする人の仕事もなくなったでしょう。

では雇用が全体として減ったかというと、そうではありません。

馬車に替わって登場した自動車産業が大きな雇用を創出したからです。

フォードの自動車工場では、大量の人々が雇用されることになり、
その後、現在までも自動車業界は多くの人々の働き口となっています。

風景が一変した背景には何があるか

ところで、エンジンを付けたモビリティは、ドイツのダイムラーが
1885年に木製の二輪車にエンジンを載せて試走に成功させています。

それが四輪車になり、車体が金属製になり、
現在の自動車へと発展していきます。

1885年というと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』の
西部開拓時代がちょうどその年にあたります。

移動手段というと、馬、馬車、そして蒸気機関車であったことが
『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』をご覧いただくとよく分かると思います。

それから15年後が1900年ですが、
モビリティについては状況に変化はあまりないという印象です。

しかし、さらに13年後が1913年。馬車→自動車という
大きな変貌ぶりが見て取れます。

1900年から1913年というわずか13年の短期間に、
馬車から自動車へと、風景が一変した背景になにがあったのでしょうか。

とても単純な発想ですが、多くの人が馬車から自動車に変えたのは
「便利で乗り心地が良かったから」だと思います。

人々がより便利なほうを求めた結果、自動車は普及し、
馬車は衰退していったと言えます。

イノベーションによる生活の変化は、
二次関数的な動きがあることがご理解いただけると思います。

この二次関数的な動きは、近年そのスピードがますます早くなっています。

テレビよりもPC、PCよりもスマホといったように
時代が新しい製品のほうが、グローバルでの普及速度も早くなっていることにも
着目していく必要があります。

顧客の「未決の課題」をいかに見つけるか

ここで考えたいことは、馬車の時代に人々に
「どんな乗り物がほしいですか?」(顧客調査、マーケット調査)
と聞いた時に、どのような答えが返ってくるかということです。

当然ですが、「自動車!」という答えは返ってきません。
おそらく、「もっと乗り心地良い馬車」とか
「早く移動できる馬」といった答えだと思うのです。

そうした答えが返ってくるとして、
もし当時、新しいモビリティを考える立場であったとしたら
どういったものを開発するでしょうか?

私がその立場であれば、
「もっと良いサスペンションの座席」
「車輪の改良」
「早い馬を育成する牧場」
といったこと(現状の延長からの改良)を考えてしまうと思います。

読者の皆様はお分かりの通り、この発想では、
馬車の改良の範囲に思考が留まるため、
自動車という次のイノベーティブな製品にたどり着くことは極めて難しいのです。

ではどうすれば良いでしょうか。

難しい課題ですが、ひとつの答えとしては、
顧客の「未決の課題」は何かを考えていくことだと思います。

この場合の「未決の課題」は、
「乗り心地」と「スピード」に帰結することができます。

それを解決できる方策はなにか? というところからが
出発点になるかと思います。

特に「スピード」という観点からすると、
蒸気機関車のようなエンジンを活用したモビリティ
を考えることができるかもしれません。

このように後から説明しますと、「なるほど」と思うのですが、
実際に現場にいたとすると、難しいというのが現実です。

バイクや自動車は、馬車などの既存の業界とは異なるところ
から出てきていると考えます。
エンジンを動力源として、移動することに面白みを感じた方が、
結果的にバイクや自動車を開発したというのは、
「イノベーションのジレンマ」の視点からも、腑に落ちる部分があります。

イノベーションに行き着くには、もしかすると
「熱意」という要素が不可欠なのかもしれません。

現代も馬車→自動車の変化は起きる

もう1つ考えたいことは、
馬車→自動車の変化で起きたことが、
現在も何らかの産業で起きるかもしれない、
あるいはすでに起きているかもしれない
そして、起こさなければいけないということです。

通常の世の中でもイノベーションは
常に起こり、多かれ少なかれ人々の生活に影響を及ぼしています。

現在、コロナウイルスの影響により、
人々の生活に大きな変化が生じていることは確かです。

これに対応するためには、「これまでの生活は戻らない」ことを
前提として、人々や顧客が求めている「未決の課題」は何か
ということを考えなくてはいけません。

たとえば、海外では飲食店として、
宅配や郵送のみで、お客様に食事を届けるというサービスが
大きく普及しつつあります。

このサービスは、お客様の席がないことから
「ゴーストキッチン」と呼ばれているそうです。

(日本でも少しずつ広がりを見せています)

厨房のみであれば、敷地面積が押さえられるため、
食事を運ぶ人件費も吸収できるということでした。

この取り組みが正解なのか、判断が難しいところですが、
仮に新型コロナウイルスの影響が今後かなり長く続くと仮定すると、
既存の飲食店は、ゴーストキッチンのような
これまでとは全く異なる対応をしなくてはいけないと考えます。

他の業界でも、こうしたビジネスモデルの抜本的見直しが
必要かもしれません。

難しい課題ですが、「未決の課題」は何かを意識して、
既存の事業の枠組みに囚われず、
試行錯誤の対応のなかで答えを見つけていくことが大切です。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

オンライン勉強会のご案内

参加費無料のオンライン勉強会(ポストコロナの質的環境変化を話す会)
を行っています。

コロナ禍での大きな環境変化について、
毎週金曜日20:00~22:00で
他社事例講演や幅広いテーマでの議論を行っています。

大手製造業の研究開発、新規事業の方を中心に
毎回15~20名の方が参加しています。

詳細、お申込みは下記をご参照ください。

ポストコロナの質的環境変化を話す会 | 価値共創研究会
タイトルとURLをコピーしました