直近の株価や各種指標からは、米国でインフレが最悪期を過ぎたと
考えられる一方で、高止まりが続いており、
景気悪化の時期に入ったことが明確となってきました。
そうした12月7日~14日の状況を整理しました。
ダウ平均と日経平均
ダウ平均
12月14日: 33,966.35
12月7日 :33,597.92
日経平均
12月14日:28,051.70
12月7日 :27,686.40
直近の経済的な動き
■12月13日:
11月の米国消費者物価指数(CPI)が発表。
消費者物価指数が上がっていると、インフレが続いていることを
示すため、注目を集めます。
発表されたCPIは前月比で上昇率が大幅縮小。
市場予測も下回ったことから「インフレが最悪期を過ぎた」という印象となりました。
「インフレ後退」によりこれまで、FRBが行っていた利上げが縮小するのではないか
という考えから株価は一時上昇した形です。
■12月14日:
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利について、0.5%の利上げ幅を発表。
利上げ幅は、これまでの0.75%から0.5%に縮小したものの、
金利の水準は依然として高く、
金利が高ければ市場にお金が回らないため、
景気の悪化を招くという懸念が続く状態となっています。
今後もインフレの状況と景気の悪化を天秤にかけながら、
FRBはバランスをとっていく形となるため、
株価も指数やFRBの発表で一喜一憂することが続きそうです。
【日本の状況】
先述の米国市場の上下の流れを受けて、
日経平均も上下したものの、米国ほどは大きな乱高下とまでは
なっていない印象。
12月5日に岸田首相が2023-27年度の防衛費について、
総額約43兆円とする方針を発表しています。
2019-23年度の防衛費が27兆円程度であることから比較して
大幅増となり、過去最高の予算額。
このため防衛関連の企業に注目が集まっており、
株価の下支えの一部を担う形です。
また、これまでもリオープン関係(経済再開)に期待がされていましたが、
12月に入り中国でのコロナ対策の緩和があり、
インバウンド関係(デパートや鉄道など)も上昇の動きが出ています。
ただ、今後の国際情勢には不確定要素が多く、
防衛、リオープンが支える形は不安定な状況が継続している印象があります。
概観
今週は米国のインフレが、一応の最悪期を脱したことが
CPIの上昇率が大幅に縮まったところから見えてきました。
一方で、強烈な金融引締(利上げ)が続けられたことにより、
インフレは、なんとか抑えられている印象が出てきたものの、
家賃、賃金、エネルギー価格、食料品価格などは高止まりしており、
製造業の動きも鈍くなってきていることも見えてきました。
景気が悪化してきている印象です。
米国では、クリスマス商戦において米小売業界の年間売り上げの約2割となるということで、
商品やお金が大きく動く時期です。
しかし、米国の消費者物価指数(CPI)は
10月、前年同月比7.7%上昇となっており、
値上げによる家計負担が大きいため、
クリスマスセールやその前のブラックフライデーまで待って、
欲しいものを購入するという状況のようです。
このことから、クリスマスセールの後の
個人消費は大きく減少すると考えられ、
年明けには景気悪化の雰囲気がさらに強くなりそうです。
ところで、世界的なインフレは日本においても影響があり、
各製品の値上げが続いています。
下記の記事の<NEW>とある部分が、
直近で値上げが予定が発表された製品、サービスとなります。
ただ、これで値上げが収まるかというと、
日本においてはもう一段上昇すると考えられています。
先程米国のインフレが収まりつつあるということを
お伝えしましたが、
米国では企業物価指数(11月7.4%)と消費者物価指数(11月7.1%)が
ほぼ同じ数値なので、企業が価格転嫁できている状態となっています。
しかし、日本では
企業物価指数(11月9.3%)と消費者物価指数(10月3.6%)と
なっており、企業が製品やサービスに価格転嫁できていないことが見えてきます。
そうなりますと、企業が耐えられる範囲を超えた段階で、
順次、値上げが続く可能性が高く、
それも一度に大きく上がるのではなく、何度かに分けられて値上がりが続くと考えられます。
2月3月の値上げとして、
「冷凍食品」「ちくわ、魚肉ソーセージ」「缶詰」
「ケチャップ」「ソース」「ふりかけ」「アルコール類」
「トイレットペーパー」などがあります。
下記の現状のお値段ご参考のうえ、
余裕があれば、値上げに備えておくことも良いかと思います。