新しい製品、サービスの値決めは、価値の理解と置き換わる製品、サービスの値段を参考に

量り 事業戦略

新しい価値の製品やサービスを展開する際に、
「いくらで」提供するかの値決めは難しい問題です。

特にイノベーティブな製品、サービスの場合、
直接的に参考となる数字が市場にないため、判断が難しくなります。

そこで、イノベーティブな製品、サービスが登場した場合に、
置き換わると想定される既存の製品、サービスの値段を参考にすると、
市場価値に近い数字につながっていきます。

今回は新しい価値の製品やサービスの値決め方法について考えます。

新しい製品、サービスが提供する価値を理解し、既存の製品、サービスの値段を参考にする

これまでにはないイノベーティブな製品、サービスの値決めを行う際には、
その新しい製品やサービスの登場により、置き換えられる既存の製品やサービスの
値段を参考にして値決めを行います。

置き換えられる既存の製品やサービスが何かを考える際のポイントは、
新しい製品やサービスが提供する「価値」がどこにあるかという点です。

例として、ロボット掃除機「ルンバ」で解説します。

ルンバの登場により、置き換えられる可能性がある
製品やサービスは、既存の人が操作する掃除機もありますが、
「ルンバ」の製品特徴が「掃除をしてくれること」に価値があることから考えると、
家事代行業の掃除サービスが近いものと捉えることができます。

家事代行業は1時間2000円~となります。
仮に週2回で各30分とすると、月8000円。一年間では96000円となります。

現在ルンバの価格は4万~10万と幅がありますが、
一年間家事代行が96000円と想定すると、
これらサービスを使うよりも安いという観点からの価格帯であると推測できます。

このように置き換わる可能性がある製品やサービスについて、
新しい製品、サービスが提供する価値がどこにあるかをもとに調査をし、
その価格帯から、値決めを行うという手法は
購入層の納得感にもつながるため非常に有効です。

キーエンスの値決めの考え方

「置き換えられる製品やサービスの値段を参考にして値決めを行う」
企業事例でとして、非常に参考になるのがキーエンスです。

キーエンスは、
自動制御機器、計測機器、情報機器、
光学顕微鏡・電子顕微鏡などの開発および製造販売を行う企業で、
営業利益率は「50パーセント」を超えることで有名です。

キーエンスの製品は、高い値段設定値段がなされています。
それでも多くの企業から支持される背景には、
「キーエンス製品を導入したほうが結果的に安上がりだ」という
絶妙な値決めにあります。

同社の値決めの考え方は、次のようなものです。
たとえば、自社の自動制御装置や検査装置を、顧客企業が導入することで、
顧客企業にとっていくらのプラスとなるか具体的な価値を計算します。

不良品が1つ出るといくらの損失となるのか、
年間でどのくらいの不良品率なのか、
検査装置導入により、いくらの人件費をカットできるか、
といったことを積算していきます。

たとえば、上記を合算して年間で1000万円だとすると、
1000万円分の以上の価値があるということから値決めを行います。

自社の製品、サービスの価値がどのいくらなのかを知ることは、
新しい製品、サービスでの値決めはもちろんのこと、
既存の製品、サービスにおける値段の再設定の際にも強力な武器となります。

値決めのために必要なことはお客様を知るということ

こうした値決めを可能にするためには、
お客様の課題や今使っているものやサービス、悩んでいること
などをよく調査することが必要となります。

新しい製品やサービスの場合は、
置き換わる前の製品、サービスがどのようなもので、
置き換わることによって、どのようなメリットがあるのか考え、
価格に反映させていくことが必要です。

新しい製品やサービスについて、
よく理解しているのは、開発者となりますので、
置き換わる製品やサービスを調査し、
価格を決定していくのも開発者が行うこともポイントとなります。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

値決めに際して、コストとプライスの違いを理解しておくことも
大切だと考えています。下記に記事も是非ご一読ください。

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フェルミ推定を活用した推測について解説しています。
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