新型コロナウイルスの影響から、
企業における働き方が急速に変化しています。
たとえば、これまでテレワークなどについて、
政府や関係団体などが、そのメリットを強調してきましたが、
取り組む企業は少数でした。
しかし、今回の問題で、
オンラインでの会議やテレワークの導入が一気に進んだということを
皆さんお感じになられているところだと思います。
テレワークはその一例となりますが、
企業として、これまで「課題」として認識していたけれども、
平時の業務の多忙さから、なかなか手が付けられなかった取り組みや、
これまで慣例的に行っていたが実際には不要であった業務(内向きの仕事)
についての見直しが行われています。
今回は、こうした企業での取り組みの変化について考えてみます。
組織体制の価値観と時代の変化
かつて、日本企業は1960年代の
高度経済成長時代に大きな発展を遂げました。
需要があった(モノやサービスが少なかった)時代においては、
モノやサービスを提供し、
その際に製造工程などにおける工夫によって、
一層のコストダウンと高品質化を行うことで
市場を席巻することが可能でした。
高度経済成長の状況下においては、
企業がやるべきことは需要を満たす製品やサービス提供であるため明確で、
企業としての創意工夫が求められた点は「どうやって?」の部分でした。
たとえば、ある製品を期日までにいくつ作るためには
「どうすればよいか」が大きなテーマでした。
「なにをやるべきか」が明確であったため、
経営陣から指示の方向に従って、各部門ができることを行い
なおかつ、安定的に混乱なく業務を遂行することで、
安定的なものやサービスの提供につながっていました。
ところが、現在はどうでしょうか。
不確実性が高く、先が読めない時代です。そもそも需要が少なくなってきています。
「なにを?」ということが、いくら優秀な経営者であっても
明確に提示することはできない状況が現代だと言えるでしょう。
こうした不確実性の高い地代においては、試行錯誤しながら、
失敗を前提に、試しながら解答を求めていく姿勢が必要となります。
そのためには、上からの指示に従って安定的に運営するスタイルから
脱却していくことが求められています。
言い換えますと、不確実性の高い時代においては、
高度経済成長期に優位性を発揮した組織の
「安定的に」「混乱なく業務を遂行する」「上からの指示に従う」
という長所が、マイナスの要因となってしまったということです。
浮かび上がってきた不要な仕事の正体は「内向きな仕事」
高度経済成長期において、安定的な組織運営を行うためには、
部署と部署同士の組織的な軋轢や混乱をなくすために
「内向きな仕事」が多数存在していました。
たとえば、
「上司から指摘をされた場合に面倒なのでやっておいたほうが良い仕事」
「ほかの部署から、クレームを出されないために行う仕事」
などがそうした「内向きな仕事」に該当します。
「内向きな仕事」については、
かねてから潜在的な課題として捉えている企業が多かったのですが、
今回のコロナウイルスの問題による
テレワークの拡充という流れを受けて、一気に表面化、問題化しています。
表面化、問題化した課題については、
今後、改善に着手せざるを得ない状況となると考えています。
一度、表面化して社員が大きな課題と認識したことによって、
事態の改善が行うことが期待されるためです。
また、経済状況の悪化により、
無駄と判断された業務については、積極的にカットをしてく
流れができていくことも推察されます。
ゼロベースで考えて実行することが可能となった
これまで「内向きな仕事」に関しては、
一種聖域化していたものもありました。
企業を安定的に、大きなミスがないこと第一とした場合、
その存在意義があったからです。
「他部署からのクレームがあった場合に備えての資料作り」などは
その最たるもので、これによって大きなミスが防ぐことにつながっており、
他部署との連携をうまく進める保険的な役割がありました。
しかし、そうした仕事は、無駄になることも多かったのです。
毎日のルーティーンのなかに組み込まれたりすると、
「この仕事は本当に必要なのか?」と疑問を持たなくなり、
長く続けてしまう結果となります。
先述のように現在の企業を取り巻く状況として、
安定的に大きなミスなく業務を続けているだけでは
企業の継続性を維持することが難しい状況になってきています。
かつてと同じ業務を続けるだけでは、
急激な時代変化への対応ができません。
変化への対応については、これまで多くの経営者や
学識経験者、実務家が指摘してきたところですが、
それでも企業はなかなか変わることができませんでした。
ただ、今回の問題を機に多くの企業が対応するようになっています。
以前であれば、現場から「不要な仕事」「内向きの仕事」について
カットをする提案があっても、あまり正面から受け止められていませんでしたが、
どうやら今回は、複数の企業で大きな壁が取り払われるようになったという
ケースが多数出てきていることが確認されています。
まとめ:筋肉質な企業経営へ
別の観点からみると、これまで、前例的、慣習的に行っていた業務に
ついてゼロベースで見直しができる状況だとも言えます。
見直すだけではなく、実際のそうした業務をストップする動きが
多くの企業で出てきています。
逆に言えば、この段階で「内向きな仕事」をカットする動きができないと、
他の企業から大きく後れをとってしまうこととなります。
このため、日々の業務で大変な状況ではあると思いますが、
自社にある無駄な仕事について、一度正面から考えていくことが必要です。
個人のビジネスパーソンとしても、
自分が行っている無駄な仕事について、
会社や上司に対して、相談ができるタイミングがきているようです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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