【最新分析】ホルムズ海峡は封鎖されるのか?イスラエルとイランの停戦と、その背後にある危機

経済動向

2025年6月24日──
ついにイスラエルとイランが、米国の仲裁によって「停戦合意」に至りました。しかし、この停戦は「終わり「ではなく、“つかの間の静寂”にすぎないのではないかと強く懸念しています。

懸念される再衝突のシナリオ

報道各社の発信を見ると、停戦合意の脆さが浮き彫りになっています。

「イランは、イスラエルが停戦合意を順守することにほとんど信頼を置いていない」と公式に警告(時事通信)

また、アメリカ・イスラエル両国からはイランの核施設に対する軍事行動が示唆される発言も続いています。たとえば以下のようなものです。

6月28日:トランプ氏「ウラン濃縮が続くなら空爆も辞さない」
6月29日:IAEA「イランは数カ月で高濃縮ウランを再生産可能」と報告

つまり、「停戦」はむしろ「新たな火種がくすぶり始めた兆し」とも捉えられるのです。

日本にとっての最大のリスク──ホルムズ海峡の封鎖

この地域の緊張が高まる中で、日本にとって最大の懸念は「ホルムズ海峡の封鎖リスク」です。
ホルムズ海峡は日本が輸入する原油の「9割以上が通過する重要航路」であり、封鎖されれば日本経済に甚大な影響が出ることは避けられません。

2024年の分析をふまえて

本ブログでは2024年1月に、イラン海軍による石油タンカー拿捕の報道を受け、ホルムズ海峡の封鎖について以下の点から「封鎖の可能性は低い」と結論づけていました。

・周辺産油国(サウジ、UAE、イラクなど)やイスラム諸国との関係悪化を懸念
・主要輸入国(日本、中国、インドなど)との経済的対立を回避したい

ホルムズ海峡封鎖の可能性は? 冷静な状況把握が重要

では今、リスクは高まっているのか?

結論からいえば、「物理的な封鎖の可能性は依然として低い」と考えています。なぜなら、封鎖すれば売り手(産油国)と買い手(アジア諸国)の双方に大きな影響が出るため、合理的な選択肢とはいえません。

しかし──状況は「静かなる封鎖」に近づいています。

現実に起きている“見えない封鎖”

2025年6月現在、ホルムズ海峡では以下のような事例が報道されています。

・タンカーのGPS妨害
 航行中の衝突事故(6月17日、ノルウェーのタンカー2隻が接触)

同地域を監視する国際的な海上タスクフォース、合同海洋情報センター(JMIC)は、イランのバンダル・アッバース港から通信信号への「深刻な妨害」が確認されたと警告しています。
これは、「ホルムズ海峡はこれまで通り航行は可能。しかしリスクが格段に増している」というのが現状です。
このような状況では、タンカーの運行コストや保険料が高騰し、結果的に石油価格が高止まりするリスクにつながっています。

今後の見通しと注意点

現段階では、実際の「封鎖」は現実味が薄いとはいえ、
戦争のような予測不可能な状況下では突発的な封鎖リスクもゼロとは言えません。

今後の注目ポイントは:
・イスラエル・イラン両国の軍事行動
・アメリカの外交姿勢の変化
・ホルムズ海峡での航行妨害・衝突事故の続発

ホルムズ海峡が抱える地政学的リスクは、
今後のエネルギー市場全体を揺るがす可能性すらあります。

特に、先日の記事でもお伝えしたように、
トランプ大統領就任後、
米国の国際的地位が低下しています。

【検証】2024年に予測された「トランプ再登場」の世界は、今どうなったのか?

米国の国際的地位の低下は、仲裁の今後にも影響するでしょう。

イスラエルとイランが、今後どのような動きをするか、
引き続きみていきましょう。

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