「ただ話を聞いてくれるだけ」が脳の老化防止につながる~コミュニケーションニーズ~

スキャニング・スキャニングマテリアル

今回紹介する記事では、
「話を聞いてもらえる」ことの効用を解説しています。

なにかアドバイスが必要というわけではなく、
ただ話を聞いてもらいたいということも
ときにはあるものですよね。

本研究では人間に話を聞いてもらうことの効用となっていますが、
AIに話を聞いてもらうことも、すでにサービスとして存在しており、今後増えていくかと思われます。

新しいサービス展開の切り口として、
面白いと思いましたので、ご紹介をします。

「ただ話を聞いてくれるだけ」の存在が、脳の老化を防ぐとの研究結果

(下記転載)
2021年9月15日(水)「ニューズウィーク」より

「ただ話を聞いてくれるだけ」の存在が、脳の老化を防ぐとの研究結果
<話を聞いてもらうだけで認知症のリスクも減る。家族や友人と支え合う「サポーティブ...

<話を聞いてもらうだけで認知症のリスクも減る。
 家族や友人と支え合う「サポーティブ・リスニング」の効用>

リアリティー番組を見てつらさを紛らわせる、
ランニングで「幸福ホルモン」を分泌する、
親友に愚痴を言うなど、
私たちの心はさまざまなものからサポートを得ている。

こうした社会的な支えは健康に良いだけでなく、
アルツハイマー型などの認知症のリスクを減らすことが分かっている。

米国医師会のオンラインジャーナル
「JAMAネットワーク・オープン」に掲載された研究によると、
心の内を吐き出したいときに、
積極的に聞いてくれる友人や家族がいることは、
認知的レジリエンス(回復力)を高めることにも役立つという。

認知的レジリエンスとは、
加齢が進んでも高い認知能力を維持する能力のことだ。

認知的レジリエンスの低下は認知症や、
脳の機能や思考プロセス、記憶力が低下する疾患と関連する場合が多い。

アルツハイマー型認知症の患者数は全米で推定600万人以上。

米アルツハイマー病協会の予測では、
2050年には65歳以上のうち1270万人以上が症状を示すという。

今回の研究では成人2171人がまず、
以下の社会的交流をどのくらい受けているか、
各レベルを自己申告した。

「サポーティブ・リスニング」「アドバイス」「愛情」
「感情的サポート」「十分な接触」の5つだ。

さらに、MRI(磁気共鳴映像法)を使い認知的レジリエンスを測定した。

その結果、サポーティブ・リスニングを
よく受けていると答えた被験者は、
より認知的レジリエンスが高いことが分かった。

サポーティブ・リスニングとは、人が話したいとき、
思いやりを持って耳を傾けることだ。
人は助言や返答を求めるのではなく、ただ話を聞いてほしいときもある。

社会的交流が認知機能を高める

「認知的レジリエンスを高める要因は、
加齢や疾患に起因する脳の物理的な変化と認知能力との
関係を修正する働きがあるのではないかと、
アルツハイマー病協会が支援する研究は示唆している」と、
論文は述べる。

19年の別の研究は、社会的交流のレベルから
個人の認知機能の低下を予測できると示している。

認知機能の低下や認知症と直接関係のある
脳内のタンパク質、ベータアミロイドのレベルが高い被験者のうち、
社会的交流が多い人は少ない人に比べて、認知機能の低下が抑えられていた。

同じように今回の研究は、社会的交流の増加が、
新しいニューロン(神経細胞)の成長につながることを示している。

これらの新しいニューロンは、
記憶に貢献するシナプス可塑性
(情報を伝達するシナプスの働きが持続的に変化すること)を高める。

さらに、社会的交流に必要な脳のプロセスが、
神経の修復に大きな役割を果たすアミノ酸を生成すると考えられる。

大切なのは、支え合う親密な関係を築くことだけではない。
互いに良い聞き手になろう。話す人も聞く人も気分が良くなって、
脳の健康とレジリエンスの維持につながる。

注目した点

コロナ禍のオンライン状況下における
コミュニケーションの課題について、
多くの方が問題意識を持っておられるかと思います。

記事ではアルツハイマーの研究論文からの示唆が
なされていますが、
日常生活のなかでも、「話を聞いてもらえること」は
重要というのが、趣旨と捉えています。

しかし、話を聞く、聞いてもらうというのが
オンラインとリアルでは、
効果のほどに大きな差が出るという実感がある方も
多いのではないでしょうか。

会ったことがある、ないというのも
大きな要因ですよね。

オンラインではノンバーバル部分が少ないというのは、
話す側、受け取る側にも
情報の相互やり取りが少なくなるかと思います。

では、時間を増やせば良いかと言うと、
それはそれで、少ない情報で判断対応をしなくてはならず、
相互に負担となることは間違いないかと思います。

リアルとの効果比較をしてしまうとおよび腰になってしまい
なかなか難しいのですが、
それでも、オンラインでコミュニケーションを意識して
とっていくことが必要なのかもしれません。

ちなみに、話を聞いてくれるAIの
開発も進んでいるようです。

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しかし、人のほうが良いという方も多いわけで
このあたりに、
人間としてのビジネスチャンスがありそうにも思います。

未来洞察の手法としての「スキャニング」の基本(1)
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