日本経済の当面の安定と、アメリカのインフレ加速状況

経済動向

2021年10月31日に行われ 第49回衆院選では、
自民党が、単独過半数を越えました。

その後、選挙結果を受けた
株式市場の10日あまりの動きを見ますと、
でこぼこはあるものの、
とりあえず安定的な方向に動いていると判断できます。

自民党が単独過半数を越えたことは、
市場としては、プラス要因だと判断がなされたようです。

今後の大きな課題としては、
日本にも少しずつ影響が出てきているインフレについての対応と、
中国の不動産市場の影響への対応がありますので、
安定した期間は短いものかもしれません。

一方で、アメリカでは、インフレが加速しているようです。

ツイッターなどでも
「BIDENFLATION(バイデフレ)」
という言葉で見られるようになりました。

アメリカでは
2020年5月と2021年5月を比べると、
ガソリンが50%上昇しており、
石油や天然ガスなどエネルギー関係が軒並み上昇しています。

食品については、
卵やベーコンといった食料品も10~20%上昇、
コインランドリーも20%上昇、
子ども用の靴も10%上昇
といったような状況です。

FRBは11月から、
テーパリング(量的緩和を段階的に終了していくこと)
を始めることを決定しました。

これまでドルをどんどん刷っていたのを止めていく
ということです。

市場へのお金の供給を少なくすることで、
インフレを防ごうという狙いも見えてきます。

しかし、インフレにつながる要因として
下記の4つの要素が見えてきました。

①グローバルでの景気の回復
②アメリカでの堅調な個人消費の伸び
③人手不足(後述)
④エネルギー価格高騰

テーパリングだけで上の4つの不確定要因に
対処できるかは、難しいところだと考えています。

このなかで、特に、
③人手不足については、深刻です。

アメリカではロックダウンに際しての
コロナ対策として3度の現金給付が行われました。

2020年3月には
大人1人につき最大1200ドル(約12万円)の給付。
2021年1月には
大人1人につき最大600ドル(約6万円)給付。
2021年3月には最大1400ドル(約15万円)給付。

また、2020年3月から2021年9月まで
失業保険の上乗せ措置が導入され、
多いときでは通常の失業保険に加えて、
日本円で月に25万円程度が給付されました。

経済が少しずつ正常化するなかで、
緊急措置がなくなりお金をもらえなくなっても、
労働者たちが働き始める動きが鈍い状況で、
人手不足が社会問題になっています。

この影響は、大手の製造業の正社員の賃上げ要求にも
つながっており、人材の問題は今後もしばらく続きそうです。

不安材料として、
公共関係の予算が削減されているため、ゴミ収集が遅れこれも
問題となっています。
警察関係、消防関係の予算も削減されており、
治安の悪化が深刻な問題になっているようです。

社会が混乱すると政権運営に疑問が生じます。
すると、次の中間選挙では、民主党政権が負ける可能性につながり、
政治的な不安定がさらに生じて、
市場にも混乱が出てくるかと思われます。

アメリカで見え始めたインフレの芽とFRBの対応
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