ITと農業の融合が新展開を見せつつあります。
農業人口が減るなかで、
ITを活用して、より効率的に農業に関係する課題を
解決していくことがこれまでも実験的に行われてきました。
しかし、これまでスマート農業は大規模農家が対象となることが多く、
大多数の中規模、小規模農家ではなかな導入が難しい、という問題ありました。
それが、AI、アプリ、ロボット技術、ビッグデータの具体的な活用などの
社会実装が進むことで、中規模、小規模農家でも活用できるサービスが
増えはじめています。
今回紹介する記事では、耕作放棄地への課題意識が、
反映されたものとなっていますが、
今後の農業についての課題意識を広く持つことは
大きなビジネスチャンスの可能性が感じられます。
「サグリ、衛星データで国内の耕作放棄地を探索へ」
(記事転載)
2021-06-02 「techwave」より
人工衛星で取得した各種データと
AI技術・区画技術を使い、農業分野における課題解決に挑む
サグリ社(兵庫県丹波市)が、
日本国内の耕作放棄地を探す取り組みに注力している。
同社は本日(2021年6月2日)、
リアルテックファンドをリード投資家として、
みなとキャピタル、池田泉州キャピタル、
広島ベンチャーキャピタル、ひょうご神戸スタートアップファンド、
エンジェル投資家等を引受先とする
総額約1.55億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。
この資金調達を機に、
地域金融機関・自治体と連携し、
各地域への農地状況把握アプリ「ACTABA」を展開していく考えだ。
(転載終了)
注目した点
AIやロボット、ビッグデータを活用したスマート農業は、
2013年頃から、農水省も力を入れており、
技術公募を行うなどの対応を行っていました。
2013年頃には、特にセンシング関係に強い企業が
名乗りを上げていた印象があり、
たとえば、ドローンによる農薬散布や
人工衛星データと、日光の当たり具合から、
収穫に適した収穫地を知らせる取り組みなどが
流行っていたように思います。
当時のスマート農業の技術的取り組みは、
人口減少と農業の担い手の高齢化により、
耕作地の集約化という、企業側・農水省側の
未来予測がベースになっていたと考えます。
ただ、一定程度の規模の農業経営体は、
当日の段階では主流ではなかったという印象です。
大部分の小規模農家としては、スマート農業など
資金的にも、効率的にも難しいというのが本音であったでしょう。
(当時はスマート農業を試験的に運用させてもらえる農家を探す
ことが企業側、農水省側としても苦労していたようです)
技術を提供する企業側の思惑としても
「今の課題」を小粒に解決するより、
将来的に大きなビジネスとなることに重点が置かれていた
ということであったのかもしれないと、現段階では考えています。
それが、ここ2~3年では、
AI、アプリ、ロボット技術、ビッグデータの具体的な活用などの
社会実装が進み、
個別の農家の悩みや課題(ビジネス的には小粒)に対して、
具体的な解決策を提示できるようになってきたようです。
たとえば、ロボットでは、収穫用のもので、
比較的小型、安価なものも展開できるようになっています。
下記は、農業用ロボットのアグリストのHP
個別の農家での、
課題解決型のイノベーションは、
今後、小粒ながら本当に役に立つものが
広がっていくのではないかと思います。
日本の農業は、人口動態の変化が進むにつれて、
問題が大きく、深刻化していくことが予想されます。
課題のあるところにはビジネスチャンスがありますので、
取り組みテーマとしてご検討いただくのも良いかと思います。